会社分割の会計処理は、受取対価の種類に応じ、投資の継続・清算という考え方により会計処理が整理されております。
現金等の財産のみが交付され、分離先企業の株式が対価に含まれない場合には投資が清算されたと考え移転損益を認識します。
一方、分離先企業が子会社又は関連会社に該当する場合には、投資が継続されたと考え移転損益は認識されません。
(移転損益の認識パターン)
分離元企業の受取対価 | ||||
現金等の財産のみ | 株式のみ | 現金等の財産及び株式 | ||
分離先企業 | 子会社 | 認識 | 認識しない |
移転利益を認識 ※株式の取得原価はゼロ |
関連会社 | 認識 | 認識しない | 移転損失は株式の取得原価とする | |
その他 | 認識 | 認識 | 認識 |
分離元企業が受取る対価については、分離先企業が子会社となる場合には共通支配下の取引(またはこれに準ずる取引)として移転前に付されていた適正な帳簿価額により会計処理を行います。
一方、分離先企業が子会社以外の会社(関連会社含む)に該当する場合には、共通支配下の取引に該当しないため受け取った対価は時価により評価を行います。
(分離元企業の受取対価の認識パターン)
分離元企業の受取対価 | ||||
現金等の財産のみ | 株式のみ | 現金等の財産及び株式 | ||
分離先企業 | 子会社 | 簿価 | 簿価 | 簿価 |
関連会社 | 時価 | 簿価 | 時価 | |
その他 | 時価 | 時価 | 時価 |
会社分割における分離先企業の会計処理は、企業結合会計に準拠することとなります。
すなわち、取得と判定される会社分割においてはパーチェス法が適用され、共通支配下の取引と判定されるケース(例:親会社が子会社へ吸収分割により事業移転する場合等)においては適正な簿価での引継処理が行われることとなります。