公認会計士とは、国家資格により認められた会計及び監査の専門家で、財務書類の信頼性を確保することを一義的な使命としています。世間一般からは馴染みの無い職業ですが、それは、公認会計士の使命(独立した立場から財務書類の信頼性を確保すること)と業務内容(監査)が複雑であるためです。
株式市場を中心とした資本社会においては、企業の発行する株式が自由に売買されることを通じて、適切な経済資源の配分がなされます。
投資家が株式を売買する際に判断材料とする企業の有価証券報告書等の財務書類は、企業自身が作成しており、外部のチェックが無ければ、投資家は信頼して財務書類を利用することが困難となってしまいます。
そこで、企業から独立した第三者としての立場で財務書類の信頼性をチェックした上で、一定水準の保証を与えることのできる専門家、すなわち、公認会計士の存在が社会的に必要とされております。
財務書類の信頼性をチェックするプロセスは、監査と呼ばれますが、これは単なる書類と会計記録との突合作業に留まらず、企業の経済活動を複雑な会計基準に照らし適切な会計処理に導くと言った高度な判断や経営者が見積もりを行う将来事象に対して合理性があるか否かの判断を行う業務を含んでいます。
公認会計士が監査の対象とする企業は、その株式が自由に売買される企業、つまり上場企業が中心となりますが、会社法等の各種法令によって一定規模の企業等についても監査が義務付けられております。
上場企業の財務資料は複雑多岐にわたるため、公認会計士は監査法人と呼ばれる組織に所属し、監査チームを構成したうえで監査を実施します。
一方で、公認会計士の中には、会計や税務の知識を生かして独立開業し監査以外の業務を行う者もいます。このような独立した公認会計士は中小企業に対して会計や税務に関連するサービスやコンサルティング業務を提供しています。
税理士は、国家資格により認められた税務の専門家で、納税義務の適正な実現を図ることを使命としています。
独占業務として税理士のみに許された業務は、企業又は個人の代理として税務申告書を作成すること及び税務相談に応じることとなります。
事業を行うすべての企業(及び個人)は税務申告書を作成・提出する必要があるため、税理士が関与する企業の範囲は公認会計士が主に大企業と関わることと比べると幅広く、このため公認会計士と比べて世間一般から馴染みのある資格であると考えられます。
税理士は、関与する企業の規模が小さければ個人事務所の形態により業務を行うことが多いのですが、大企業が関与先となる場合は税理士法人と呼ばれる税理士が集まった組織に所属し、チームを構成して業務を行うことになります。
公認会計士の社会的使命は、独立した第三者としての立場から企業が作成する財務書類の監査等を行い、一定の保証を与えることで、資本市場における企業の資金調達や投資家の株式売買等を円滑化するインフラとしての役割があります。当該監査業務が、公認会計士の資格を有する者の独占業務となっております。
税理士の社会的使命は、税務の専門家として申告納税制度に従って、納税者の納税義務の適正な実現を図ることとされております。公認会計士との違いは、税務に関する相談業務等を実施できる点や納税者の税務代理人となり税務申告書の作成等を実施できる点となります。
なお、公認会計士の資格を有する者は税理士登録を行うことが可能となっています。