株主名簿に記載はあるものの連絡が困難であり、所在が不明となっている株主を指します。所在不明株主を整理する方法は、株式買取り、特別支配株主の株式等売渡請求、株式併合が利用されています。
以下の要件をともに満たす場合、所在不明株主の承諾を得ることなく、競売又は売却(会社による買取りを含む)の手続きが可能となります。
①所在不明株主に対して行う通知等が5年以上継続して到達しない
②所在不明株主が5年間継続して剰余金の配当を受領しない
なお、経営承継円滑化法において都道府県知事の認定を受けることと等の要件を満たす場合には、上記の5年が1年へ短縮されます。
利害関係人が一定期間(3ヵ月以上)、異議を述べることができる旨等を官報等により公告するとともに、所在不明株主や登録質権者に対して個別催告を行う必要があります。
取締役会の決議により、換価の方法を決定します(競売、第三者への売却、会社による買取り)。第三者への売却及び会社による買取りにおいて、株式の市場価格がある場合には当該市場価格によりますが、株式の市場価格がない場合は、取締役全員の同意により裁判所に株式売却許可申立を行い、裁判所の許可を得て売却を行います。換価手続きにより、所在不明株主が保有する株券は無効となりますが、株式の売却代金請求権を取得することとなります。換価手続きにおける株式売却代金は、会社の本店所在地を管轄する法務局に供託されることとなります。
単独または完全子会社等と併せて議決権割合の90%以上を有する場合、取締役会決議により所在不明株主に対して株式の売渡請求が可能です。なお、株式の買取代金については所在不明株主の住所地を管轄する法務局に供託を行います。
株主総会の特別決議により、複数の株式を1株に併合することで所在不明株主が保有する株式数を1株未満とするとともに端株を現金で買い取ることで所在不明株主を整理することが可能です。なお、端株の買取代金については所在不明株主の住所地を管轄する法務局に供託を行います。