類似業種比準価額方式(国税庁方式)とは、類似業種の株価並びに1株当たりの配当金額、年利益金額及び純資産価額を基に1株当たり株式の評価を計算する株価算定方法であります。類似業種の株価については、国税庁HPにより公表されている指標を採用します。
類似業種比準価額方式における計算式は以下のとおりです(平成29年度税制改正により以下のとおり改正予定です)。
A: |
類似業種の株価 |
B: |
課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの配当金額 |
C: |
課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの年利益金額 |
D: |
課税時期の属する年の類似業種の1株当たりの純資産価額(帳簿価額により計算) |
Ⓑ: |
評価会社の1株当たりの配当金額(特別配当、記念配当除く) |
Ⓒ: |
評価会社の1株当たりの利益金額(益金不算入となる受取配当金、繰越欠損金控除については加算) |
Ⓓ: |
評価会社の1株当たりの純資産価額(帳簿価額により計算) |
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※Ⓑ、Ⓒ及びⒹの金額は1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額として計算 |
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上記算式中の「0.7」は取引相場のない株式の評価上の区分に定める中会社の場合は0.6、小会社の場合 は0.5をそれぞれ用います。 |
(留意点)
・上記※が2円50銭未満の場合(無配を含む)には2円50銭として計算を行います。
・直前期末以前の2年間における配当に、特別配当や記念配当が含まれている場合にはこれらを除いた経常的な配当金実績により計算を行います。
(特徴)
・類似業種比準価額方式では、課税時期の属する利益の金額のウェイトが、配当金額及び純資産価額に比し高いことから、業績が好調な時期に評価を行う場合には株価が高く算定される結果となります。
・会社が保有している資産の含み損益は株価の計算上は反映されないことから、保有資産に多額の含み益があるようなケースでは、純資産価額方式に比べて株価が低く算定される可能性があります。
課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低い価格となります。但し、納税義務者の選択により類似業種の前年平均株価によることができます。類似業種の株価については、国税庁のHPにて公開されています。
類似業種の判定は、財産評価基本通達に定める取引相場のない株式の評価上の区分の取引金額に基づいて判定した業種目となります。
なお、当該取引金額のうちに2以上の業種目に係る取引金額が含まれている場合は、取引金額全体のうちに占める50%を超える業種目を採用します。
50%を超える業種目がない場合は、類似業種比準価額計算上の業種目を用いたより詳細な判定を行う必要があります。
また、平成27年度において日本標準産業分類が改定されたことに伴い、類似業種比準価額方式において使用される業種目の見直しが行われています。国税庁HPに掲載されている「(別表)日本標準産業分類の分類項目と類似業種比準価額計算上の業種目との対比表(平成27年分)」をご参照ください。
以下の2つの事象が発生した場合には、下記の算式に基づき類似業種比準価額の修正を行う必要があります。
(1) 直前期末の翌日から課税時期までの間に配当金交付の効力が発生した場合(期末日後の配当)
「類似業種比準価額」の定めにより計算した価額-株式1株に対して受けた配当の金額
(2) 直前期末の翌日から課税時期までの間に株式の割当て等の効力が発生した場合(新株発行)
(「類似業種比準価額」の定めにより計算した価額+割当てを受けた株式1株につき払い込んだ金額×株式1株に対する割当株式数)÷(1+株式1株に対する割当株式数又は交付株式数)