100%子会社を清算する場合において、採用するスキームにより以下のとおり税務上の取り扱いが異なることとなります。保有資産の含み損益の状況、繰越欠損金の利用可能性、配当可能利益の状況等に応じて適切なスキームの選択が求められることとなります。
清算型 | 事業譲渡型 | 合併型 | |
スキーム | 適格現物分配+清算 | 資産負債譲渡+清算 | 適格合併 |
子会社の資産負債 | 簿価で親会社へ移転 |
時価で親会社へ移転 (残余財産の確定日の翌日に完全支配関係が消滅するため) |
簿価で親会社へ移転 |
親会社の子会社株式 |
資本金等≧分配額の簿価 →資本金等の額の減少 資本金等<分配額の簿価 →みなし配当(但し、益金不算入) |
同左 | 子会社株式の簿価を資本金等の額から減少 |
親会社の子会社に対する債権 |
債権放棄損の損金算入 (子会社では債務免除益が発生) |
同左 |
簿価で親会社へ移転 (債権債務の混同により消滅) |
繰越欠損金 |
原則として引継ぎ 但し、支配関係(50%超の関係)が残余財産確定日の翌日の属する事業年度の開始日前5年前の日以降に生じている場合には、支配関係が生じた事業年度前の各事業年度に生じた繰越欠損金は引継ぎ不可 |
同左 |
原則として引継ぎ 但し、支配関係(50%超の関係)が合併の日の属する事業年度の開始日前5年前の日以降に生じている場合で、みなし共同事業要件を満たさない場合には、支配関係が生じた事業年度前の各事業年度に生じた繰越欠損金は引継ぎ不可 |
留意事項 | 配当規制の適用となるが、残余財産に含み益がある場合には一般的に有利となる | 残余財産に含み損がある場合には一般的に有利となる | 残余財産に含み益がある場合には一般的に有利となる |