(ブラック=ショールズ・モデル)
ヨーロピアンオプションの評価に適している評価モデルであり、原資産価格の変動が対数正規分布に従うとの仮定を置いた連続時間型モデルである。原資産の現在価値、権利行使価格、行使期間、リスクフリーレート、予想配当、ボラティリティをインプットデータとして用いる。ストックオプションは一般に譲渡禁止(又は制限)されているという特性や特殊な行使条件が付されることがあるため、ブラックショールズモデルをストックオプション評価に適用する場合には、一定の仮定を置くことでモデル上の欠点を補完する必要がある。
C | :コールプレミアム | ||
S | :原資産価格(株価) | ||
K | :権利行使価格 | ||
r | :無リスク利子率(リスクフリーレート) | ||
T | :残存期間(年) | ||
σ | :株価変動性(ボラティリティ) | ||
q | :配当率(予想) |
ストックオプションに関する会計基準においては、株価変動性(ボラティリティ)を見積る際には、過去の株価実績に基づく予測を基礎としつつ、次のような要因を考慮するものとされております。(ストックオプション等に関する会計基準の適用指針第10項)
①株価情報を収集する期間(株価情報収集期間)
予想残存期間に対応する直近期間の株価情報を用いる。
②価格観察の頻度
一定の観察頻度で、一定の観察時点に規則的に価格を観察することとし、これをみだりに変更してはならない。観察頻度は、信頼性のある測定を行うために十分な情報量を確保できる限り、日次、週次又は月次のいずれを用いてもよい。
③異常情報
収集した株価情報の中に、明らかな異常情報が含まれていると認められる場合には、上記の株価情報収集期間に代え、次のいずれかの株価情報収集期間を用い、当該異常情報を除外して見積りを行う。
-予想残存期間に対応する過去の連続した期間で、異常情報を含まない直近の期間
-異常情報の含まれる期間を除いた期間が、全体として予想残存期間に対応する過去の直近期間
④企業を巡る状況の不連続変化
株価情報収集期間内に、当該企業の業態が全く変わってしまうなど、企業を巡る状況に連続性を絶たれるような大きな変化が生じた場合(そのような変化の予定が公表された場合を含む。)には、当該株価情報収集期間内の株価情報であっても、そのような企業を巡る不連続的な変化が生じる前の情報が、将来の株価変動性を見積る基礎とはならない場合があることに留意する必要がある。このような場合には、利用可能な期間の株価情報に基づいて株価変動性を見積り、特に利用可能な期間が予想残存期間に比べて著しく短い場合には以下の方法により不足する情報を補うこともできる。
-当該企業の類似の株式オプションの市場価格から株価変動性を逆算できる場合には、その情報。
-上記以外の場合には、当該企業と類似する企業に関する株価変動性の見積り(なお、業種、企業の発展
段階や規模、各種の財務指標等を考慮して、当該企業と最も類似性の高い企業を選定する。