WACCとは、加重平均資本コストであり株主資本コストと有利子負債コスト(税引後)を時価ベースの株主資本及び負債にて加重平均を行い算定された割引率である。WACCを算定する際の資本構成は、評価時点の資本構成ではなく目標とする時価ベースの資本構成を用いることが理論的とされている。
WACCの計算式は以下のとおりです。なお、税率についてはWACCを適用する将来期間における法定実効税率を基礎として見積りを行うこととなります。
WACC= | D | × | Rd | × | (1-税率) | + | E | × | Re |
D+E | D+E | ||||||||
D:有利子負債 | |||||||||
E:株主資本 | |||||||||
Rd:負債コスト | |||||||||
Re:株主資本コスト | |||||||||
t:税率 |
固定資産の減損に係る会計基準の適用指針においては、企業が固定資産の使用価値を算定する際に用いる割引率のひとつとして、当該企業に要求される資本コスト(借入資本コストと自己資本コストの加重平均)を用いるケースがあると定められています(適用指針45項(2))。
一般的に、固定資産の使用により生ずる営業キャッシュフローは税引前で試算されることから、減損会計の適用において使用するWACCは、負債コストに適用される税率部分を含めず、税引前の加重平均資本コストを採用することが必要となるため、上述の算式の調整が求められます。